ED外来を始めてまもない頃、ある患者さんが言った一言に驚きました。
「先生、どうしてEDだからといって心電図や尿検査、挙句に自分の性器を見せるのでしょうか?」
私のクリニックではそのような検査も性器の診察もしていなかったので驚いたのです。
「私はそのような検査や診察は必要ないと思っていますよ。
あくまでEDは機能障害なので問診だけで十分ではないですかね。」
そういうと患者さんはほっとした顔をしました。どうやらほかの病院でED外来を診察した時に色々な検査をさせられそうになり、ほうほうのていで逃げるようにして帰ってきたというのです。
患者さんはあくまでもEDの薬が欲しいだけなのでしょう。
しかしその病院の先生はEDという診断をつけるために色々な検査をして、色々な診察をして、それで薬を処方するという普通の診療がしたかったのだと思います。
例えば腹痛があって病院に行くと、いろんな検査をして診断が付きます。例えばレントゲンを撮ったり、胃カメラを行って、胃潰瘍ですとか、盲腸ですとか、診断されて、それに合わせて薬が出たり点滴したりするのです。
でも、患者さんはEDとわかって来ているのだから余計な検査は要らないし、なんとなく恥ずかしいので検査と聞くと嫌な感じを受けるのです。
実際にEDの診療に検査が必要かどうかはその医師の考え方によって違うと思います。しかし、EDだからといって性器の診察までされたとしたら患者さんにとっては余計なトラウマが生まれてしまうのでは、と心配になります。
ただでさえ、EDは精神的なストレスが大きく関わっているのですから。